CGのモデリングでは三面図(前・横・後の絵)を使ってバランス確認しながらデータを作っていく方法があります。
CLOでも似たようなことが出来ます。参考写真を使ったり、デザイン画や平絵などを画面に表示させてバランスやディテール位置を確認・比較するときに使えます。今回は参考画像をCLOで表示させるときのコツや注意点をお伝えする内容です。
準備・画像を探す
作りたい服の写真や絵を探します。出来るだけ服が歪んでいない(特殊なポーズを取っていない)もので、背景がゴチャゴチャしていないものを選んでください。
今回の説明では、適当な平絵を作りました。正面からみた図は下の通りです。
横からみた図です。分かりやすくするため、背景は透過にしたデータを用意しました。
全体が綺麗に映っているものでなくても、チェックしたい部分がハッキリしていればOKです。全体の分量感を参考にしたいのか、細かいパーツを確認したいのかなどで参考資料の選びかたを変えてみてください。
絵をのせるパーツ作成と処理
アバターを読み込んでから、CLOで四角形のパーツを作ります。作りたいアイテムに合わせてサイズを決めます。2D画面にあるアバターの影を参考にサイズを決めても良いと思います。後からサイズ調整できるので、この段階で正確な四角形を作る必要はありません。
次に、作った四角形の粒子間を大きくします。デフォルトの粒子間は20になっていますが、500に変えました。
四角形のパーツは絵を投影するだけの用途なので、出来るだけ少ないメッシュ数の方が良いためです。PCの性能次第ではありますが、メッシュ数が少なければCLOの動作が重くなることを防げます。
参考資料をのせて調整
四角形のパーツに、参考資料をのせてサイズ調整していきます。2D画面上でも大きさを確認しながら進めると良いと思います。
CLOでは配置する場所によって大きさが変わって見えるので(平行投影できない)、四角いパーツの配置位置などに合わせてサイズを調整しましょう。
斜めから見るとこういう感じです。
前に置いた場合、アバターに着せ付ける服が見えなくなるので四角形パーツを半透明にします。参考画像を乗せた生地を選び、不透明度を下げます。参考画像の色や移り具合によって数値を調整してください。
今回は不透明度50にして進めます。
不透明度を50にするとアバターや着せ付けている服が透けて見えるようになります。
レンダリングプロパティ → カメラプロパティ →レンズ視野の数字を下げることで平行投影に近い状態に変えることもできます。ただし、数字を下げすぎると視点変更などで不便になることが多いので注意が必要です。最終チェック時などに使っても良いですが、ある程度確認が終わったら初期値(=15)に戻しておきましょう。
四角パーツの固定と操作
四角パーツは固定します。布パーツなので、シミュレーションすると床に落下してしまうためです。
ただ、固定してしまうと塗りつぶされて後ろ側が見えなくなります。
対処法は、2パターンあります。
①参考の四角パーツは固定したままにして、シミュレーションをかけ終わった後にその都度固定を解除して確認する
服を着せ付けている間は、参考用のパーツはアーカイブするなどして隠しておくとやりやすいと思います。シンプルですが、シミュレーションごとに切り替えが必要なのでやや手間が掛かります。
②固定を非常時にする
固定機能を非表示にすることで、固定でパーツが色付けされなくなります。
3D画面の何もないところで右クリック →色表示/非表示 →固定非表示 と選択してきます。
非表示にすることでパーツの固定は維持したまま、適用させている絵を見られるようになります。
この方法だと、組み上げている服に固定を使った場合もどこを固定しているのか分からなくなるというデメリットがあります。もとに戻す場合は、非表示にしたときと同じ手順で【表示】に切り替えます。
①と②の方法を使い分けてみてください。
服を作りながら調整する
参考となる図の設置や設定が終わったら、服を作っていきます。横からみた参考図はアバターの真横に配置しています。回転させたりしながらバランス調整してきましょう。
見やすいように服はグリーンにしています。
ある程度、CLOで服を作ったあと前方から見た図です。参考に対して着丈や袖丈が長かった(グリーンがはみ出している)ので丈を短く修正するかどうか、という判断材料になります。
今回は着丈や分量の参考にしましたが、ポケットの位置や大きさ、衿先の角度などのチェック用にも使っても良いと思います。
注意点
実物写真か、平絵で縦横の寸法比率が正しいもの以外は参考にする箇所とそうでない部分を切り分けて考える必要があります。人が着ている写真の場合は、着ている人の体形やポーズを考慮しましょう。
デザイン画は、あくまでイメージのみを伝える絵を描く場合もあります。正確にトレースするよりも、バランスを変えた方が綺麗な服になることもあります。
完全にトレースすることを目標にするのではなく、あくまで補助するためのツールとして使うようにしてください。