3DCADを何故はじめたのか 興味をもったきっかけ

雑記

なぜパタンナーとして働いていたのに3DCADに興味をもったり違うことを始めようと思ったんですか?と質問される事があります。今回はその経緯を書きました、技術的な内容はいっさいありません。箇条書きでは味気ないので、短編小説風に書いてみました。


「っていうことは、アパレルの技術はアップデートやイノベーションがほとんどないってことだよね。新しいスキル獲得や学習機会はあまりなくこれまでと同じようなことを繰り返しているってことになるね」当時のメンター(と思っていた人)にそう言われて衝撃を受けた。

その人はITや金融・大手のゲーム会社などで様々な実績が残したのちに転職してスタートアップでCFOと全部門の相談役をしていた。会社内にアパレル部門があるけど何をしているか分からないので技術的な話や納品までの流れなどを教えて欲しい、と言われ色々な話をしたあとに言われたことだった。

反射的に「いえ、そんなことはありません。CADが出てきて・・」「仕様書用のツールが出てきたり・・」といった言葉が出てきたが、それは大きな変革となっているのか?という問いに対しては口をつむぐしかなかった。

今まで考えたことがなかった指摘だった。アパレル技術職の間で他業種ほどのイノベーションがあったのか、というと無いと言わざるを得ない気がしてきた。

IT業界では様々なプログラミング言語が生まれており、過去のライブラリなどを参照して後進はより速く効率的な学習ができると聞いていた。それにより生み出せる価値のスピード自体が上がっているという印象だった。それに比べパタンナーという型紙をつくる職種で一人前といわれるまでに掛かる年月が劇的に速くなったかというと余り変わらない。むしろ新人に教育する余裕がなくなった企業が多くなり、以前よりも成長が遅くなっている可能性すらある。また、ある程度育ったあとでは作業が速くなるとしてもおそらく数%程度だ。作成した型紙の価値が数倍にあがる人はごく一部。CADなどのツールで効率は上がったのは間違いない、だが価値はどうか、つまり作業者の仕事は以前よりも認められ待遇があがっているのかというとそうだとは言えない部分が多い。

であれば、新しい価値や基準となりそうなものを試してみるしかない。これまでの延長線上の事だけやっていては、効果は予想できる範囲内でしか変わらない可能性が高い。というよりも、今現在のアパレル業界の衰退こそがこれまで通りやってきた結果だと言える、1つの答えは出てしまっている。もちろん結果をだしているアパレルも数多くあるし結果を出している個人がいることも知っている。

プログラミングやシステム開発にも興味はあった。RFIDの導入検証や基幹システム刷新時の要件定義にアパレル側のアドバイザーとして参加したこともある。だが、既に有能なプログラマーが多いなかで自分が優位にたてるだけの成果をだせるだろうか?それはかなり厳しい気がする。

できれば今あるスキルが役に立ち、掛け合わせられるものが良い。

そういったことを考えてみると3DCADを試してみるのが良いような気がする。パタンナーの知識も生かせそうなソフトだし当時は取り組んでいる人口が少ないことも後押しした。他の人があまりやっていないことこそ試してみたら面白そうだ。


というのが、3DCADに興味をもったきっかけと実際に始めてみるまでの大まかな流れです。

何かを試してみるか何もしないのかは自由だと思います。しかし、試してみないことには失敗も成功も重なり合ったままです。誰かが観測して確定させる必要があります。

そういった経験を共有したり(契約上記載できないこともありますが)自分なりの意見を残すために、いまはブログもはじめてみることにしました。