アパレル業界を目指すひとに 気を付けるべきこと10選

アパレル

アパレル業界に進んでみたいけど何に気を付けたら良いのか分からない。業界に入って間もないけど、どう動けば良いか情報が出ていないというひと向けの記事です。学生や新人のときの自分に向けてアドバイスするなら、という仮定で内容を考えました。

数多くある考え方のひとつとして気軽に読んでいただければと思います。

やりがいで仕事・会社を選ばない

やりがいはとても曖昧なものです。年齢や人間関係の変化といった環境によっても変わっていくものです。服への接し方や好きなブランドも状況に左右されます。20歳のときと50歳になってからでは着ている服装や好みが変わっている人のほうが多いのではないかと思います。

とはいっても、その時々で感じたやりがいを貫くのは大事なことです。その瞬間にしか出来ないこともあります。

ただし、やりがいは変化するものと頭のスミに入れておいた方が柔軟に行動できることは多くなります。やりがいに縛られすぎるのは良い結果につながるとは限りません。

新人として仕事をわたされた時もやりがいという基準に頼っていると空回りしてしまうことがあるかもしれません。もし、やりがいを軸に考えたいのであれば自分自身で気持ちをコントロールできるようにしておく必要があります。

やりがいと目標は違います。自分のやりがいを掘り下げて言語化できないのであれば、目標を達成できるかどうか、自分のスキルが付くかどうかということを主軸に置くという考えにシフトしても良いと思います。

けっこう体力勝負

健康はどんな仕事にも不可欠な土台、身体は資本です。関係ないようにみえるアパレルの職種でも体力勝負という場面は少なからずあります。

アパレルで企画の仕事に就いたとしても、アイデアを出したり検証したりとずっと机の上で仕事をしているわけではありません。荷物の搬入や設置などを担当することもあるかもしれません。会社の外観やHPはすごくオシャレで洗練されたイメージだけど中身は体育会系なんていうこともあります。

アイデア出しなど頭をつかうことに専念するような状況でも、集中力がもつかどうかは体力に依存します。

ずっと座っているのは健康にも良くないので、日ごろから軽い運動をして体力を付けておくのがおススメです。仕事よりも健康を優先することはもちろんですが、勝負をかけたい時やチャンスが訪れた時に体力があれば多少の無理も乗り越えられます。

学びはゼロにもどる

学校で教わったことはほとんど実務で使えず仕事の現場ではゼロから学び直す、くらいの気持ちが必要です。

教育現場での数年間の学習では実務に必要なことを網羅できないからです。多くの学校では大多数がついてこられるカリキュラムに設計されており、難易度を高く設定したり内容を詰め込めません。その結果、学校で教わった内容だけでは足りなかったり、現場でそのまま使える技術水準にはなりづらくなっています。仕事では分業され一部の仕事を受け持つことが多いため専門性が高いことも要因です。

もちろん学校や学科によっても変わります。それに学校は技術よりも服にかかわる楽しさや気持ちを育てているということもあるため、どちらが良いかという事ではありません。言いたいことは、全くの初心者としてゼロから学習しなおす意気込みを持ってほしいということです。

仕事の現場に入ると学生時代とはスピードも段違いに感じる人もいるかもしれませんが、最初はそういうものだと割り切りつつ出来るだけ早く多くの事を任せてもらえるように学んでいけば良いと思います。

業界は外からでも変えられる

業界のココに問題がある、アレを改善したいからアパレルに入りました!という人を見かけることがあります。素晴らしい意識を持った人材ですし個人的に応援しています。

けれども、動機が業界改善であればアパレル業界の中に入らなくても変えられます。例えばプログラマーになって新しいシステムを開発してDXなどを推進するのも良いですし、他の仕事でお金を稼いで好きなブランドの服を購入することも業界を支援しているといえます。極端な話ですが、政治家になりアパレルに関する法律整備や政策に取り組めば大きな改革を先導できるはずです。

業界の内部から改革をしたいのであれば、ひとことで言うと影響力を持つ必要があります。例えば、資本が大きい会社でプロジェクト決定権を持つほどの役職に就いたり、世界に認められるほどの技術を身につけたりすれば自分が良いと思う方向に引っ張っていけます。何も成果がないままで改革を訴えても殆ど意味はありません。

もちろん、業界に入ったからといって何かを変える必要はありません。これまでのやり方が好きなので続けたい、伝統的なことを残していきたいと考えることも大切なことです。

もし何か変えたいのであればそれが本当に業界内部に入らないと起こせないアクションなのか、ということは見つめ直してもいいかもしれません。

他業種と接点を持つ

アパレル業界以外の人と接点を持つことをおススメします。その人たちから仕事の進め方やルールを聞いたり、雑談でいいので話をしてみる機会を定期的に持つと発見があります。

閉鎖的な(と内部の人間は考えていなくても)業界は、外部から見たときにシステム的なことで取り残されていたり業界内では常識として扱われていることが一般的には非常識になっていることに気が付けないことがよくあります。

業界内の人だけで集まっていたほうが気を使わないし楽しいと思う人が多いかもしれませんが、社会全体の動きや技術の流れに取り残されてないように気をつけましょう。

異業種の交流会などが開かれているのでそういった場に参加してみるのも良いと思います。学生時代の同級生や同郷の人と連絡をとってみるのも手段のひとつです。

人に直接会ったり連絡するのが難しければ、本業とは関係ない本を読んでみたりスキル講座などで学習してみると、実は本業にも活かせることが多くあります。 

段階的なゴールを決める

好きな職種や作業であってもずっとそれを続けられるかというと厳しいと思います。後輩や教育することになったり、チームの管理を任されれば連携する部署とのやりとりも担当するかもしれません。

最初から長期的な目標を立てるのは難しいと思うので、2段階・3段階くらいの身近なゴールを決めておくと良いと思います。何か作業をまかされているのであれば、作業時間を今より10%速くするというようなことでも良いです。目前のゴールを達成していくうちに長期的なゴールが見えてきたりします。

ゴールは途中で変えても問題ありません。路線を変更したくなるときもあれば、方向転換する必要性を感じることもあるでしょう。人生での優先順位が変わればすぐにでも道を変えて取り組みましょう。

ただ、小さなゴール・身近なゴールまで達成したタイミングで切り替えるのがおススメです。始めたばかりのことはある程度やってみないと良し悪しを判断できませんし、途中で投げ出すようなことが増えるとやり抜く力が付かないためです。

大きな・難しい仕事に関しても段階的なゴールは有効です。どこから手をつければ良いか分からない時は、いちどに効率よく終わらせようとせず仕事を細かく分けて1つずつ取り掛かります。そうすることで問題が整理されていきます。このことはピースのたくさんあるパズルに似ています。散らばったピースを一気に頭のなかで組み上げるのは難易度が高いですが、隅の方から少しづつ埋めていけばいずれパズルは完成します。

単独スキルは厳しい道のり

技術職やクリエイターであれば1つのスキル習得に集中したいという人は多いと思います。一定のレベルに達するまでは1つのことを繰り返した方が習得は早いのでそれも良いと思います。

注意すべきことは1つのスキルのみで勝負するというのは競争率も高くかなり険しい道のりになるということです。プロであれば1つのことをだけやって極めるべき、という人もいますがその考えを選ばせる方も選ぶ方も相当の覚悟が必要だと思います。

単独スキルでプロとして良い生活ができるのは上位数パーセントだけです。何か1つのスキルで社会人として勝負するということは、部活や勉強科目で全国トップ10に入るより難しいことに挑戦していることになります。

では他に身につけておくと良いかというとメイン作業の前後で行われる仕事の知識を付けておくのがおススメです。連携時に役に立ちますし、メインの仕事内容に近いことが多く興味も湧きやすいと思います。

あとは、応答が早いとか文章が丁寧で分かりやすい、といった汎用スキルを身につけるのも大切です。技術はしっかりしていても他のことで評価を落とすのはもったいないですし、スキル関係なく習得できるのが基礎の良い所でもあります。

1つの技能・専門性で世界で勝負するという強い意志があったとしても、汎用的なスキルは持っておいたほうが様々なことをスムーズに進行でき役に立つはずです。

知ってもらう

自分のスキルや想いを知ってもらうために発信することは重要です。

スキルは知ってもらえなければ存在していないのと同じです。仮に世界一のミシン職人が電波もとどかない山奥で開業していても、だれも認識できず依頼することもできません。

想いや考えは発信していれば共感するひとが現れます。発信していることに指摘をうけ、考えを改める機会にも恵まれます。言わなくても誰かは何となく分かってもらえるはず、と都合のいいように考えるのは危険です。

SNSでもなんでもいいですが発信したりアピールは必要です。発信したところで目立つようになるまでには時間がかかるので、とりあえずやってみても良いと思います。

スキルが身についてから発信したいという人もいるかもしれませんが、すこしずつでも同時にやってしまいましょう。何か身についてから、と先延ばしにしているとずっと機会は訪れません。

技術と教える力は別

よく言われることですが、技術があるから教え方が上手いわけではありませんし、その逆も然りです。

クリエイターや技術者の中には、教わる相手の技術が高くないと(更にいえば自分よりも技術が高くないと)教えてもらっている話を素直に聞けないという人がいます。その考え方を持っている人は今すぐゴミ箱に投げ捨てましょう。

人にうまく教えるにはいくつもスキルが必要です。仮に技術的にまったくの素人でも教えかたが上手ければ何も問題ないと考えるべきです。現在地から目標となる地点まで自分の能力が変わるのかどうかが最も重要です。

体験しながら覚える技術の場合は、技術的に高い人を講師に呼ぶ以外に方法はないかもしれません。ただ、感覚で教えるようなものは伝統工芸のように製品単価が高いものでなければ割りに合わなくなっていくと思います。

技術が高く教え方がうまい人が指導することは理想ですが、そういう人材に依頼する場合は相応の金額を払う必要があることを覚悟しなければなりません。人に教えている間にその人が稼ぎ出せる金額以上の対価が必要だからです。人に教えるためには準備時間も相当必要です。

1人の話を信じすぎない

なにかの専門家でも1人の話や意見だけを聞いて判断するのはやめましょう。専門家でも新人の意見でも、根拠や正確性に大きな差はあらわれないと考えておくべきです。

複数の専門家が出している理論を統合・俯瞰してまとめ、集めたものを更に統合して初めて多くの人にとって根拠がある内容だと言えるようになります。

複数の意見、出来れば正反対の意見も聞いた上で、何を自分に取り入れるべきなのか判断するようにしてください。1つの意見をまるごと全部取り入れる必要はなく、部分的にきりとって取り入れても良いと思います。

実績がすごい人であろうと現在も通じる話なのか確認してみる必要があります。ツールや技術革新が行われる前の話をされている場合があるからです。現在よりも先のことを考えてみたいのであれば、実績を出し続けている人の話が最も参考になると思います。

出来るだけ広い視野をもってどの情報を取り入れるのか、検討してみてください。

最後に

できるだけ短くまとめたつもりでしたが、それなりの文字数になってしまいました。何が良いのか悪いのかは、最終的に自分自身で決めるしかありません。

今回の内容が少しでも役に立てば幸いです。