3DCADで作成できる代表的なデータ5種類とその内容説明

CLO 3D

3DCADの存在は知っているけれど実際にどのようなデータを作成可能かわからないという人のための記事です。


主要だと思われる5種類とその内容を説明します。CLOを使う場合として書いていますが、他のアパレル3DCADでも基本的に同じだと考えて問題ないと思います。

型紙

平面の型紙を作成可能で、四角形などの平面図形を展開したり削ったりすることで形成します。2DCADのように線を引いて平面図形を作るのではなく(つまり1次元を集めて2次元を作る)、はじめから2次元の図形を操作します。
詳しく書くと長くなるため、操作性などについては別の記事にまとめることにします。

3D画面を見ながら布の位置や分量を調整することで立体裁断(ドレーピング)のように組み上げることもできます。

3D服のデータ

1.リアルな服のデータ

3Dデータなので、回転させて別の角度から見たり背景やライトの位置を変更できます。多角的な視点で確認できることが、大きな利点のひとつと言えます。

一度作成したデータであれば、ライトや生地(テクスチャ)を切り替えて使うことで二次利用が可能です。
デジタルデータなので保管する際にも、場所を取らないというメリットもあります。

2.リアルでは作れない・作るのが難しい服

デジタルならではの服データ作成も可能です。

例えば重力を無視した作りや部分的に欠けている服など、作り方や創造力次第で制限なく自由に構成できます。リアルな服と想像上の服を組み合わせて作る、ということも可能です。

アニメーション

アバターの動きに合わせて服の動きを計算させることで、布の揺れ方などがリアルな動画を作成できます。各フレームごとに点群を計算させることになるため、非常に時間がかかる工程です。アニメーションデータを他のDCCツール(blenderやMAYAなど)に持ち出して調整をかけることもできます。

下はUE(アンリアルエンジン)で背景とレンダリングを行った動画です。服の動きはCLOで作成しています。

靴やバッグ

服以外であっても、パーツを縫い合わせることで形を作るアイテムであれば作成可能です。

パーツ自体は布として扱われるので硬いモノは得意ではありません。例えば家具やアクセサリーも作ることは可能ですが、細かいテクニックが必要ですし、他のDCCツールで作成したほうが安定します。

BOM、マーキング

BOM(Bill Of Materials)=付属管理表を出すことも可能です。
日本の中堅以上の企業では、付属個数や値段の管理は、生産システムに紐づけされていることが多いので、この機能の出番はいまのところ無さそうです。

マーキングに関しても、精度や使い勝手の問題でアパレル2DCADで提供されているソフトを使う方が速く確実です。
今後他の機能や補助ツールのようなものが追加された場合、生産や発注システムに繋げることができれば出番がくる可能性もあります。

最後に

はじめにも書きましたが、ここまでに挙げた5つは比較的分かりやすい例であり、使い方や組み合わせ次第ではもっと多様なことができます。他のツールとの連動や思いついたことがあれば試してみてください。